経営理念の“integrity“とは ①
2024年05月20日 14:07
ドラッカーは数々の著作の中で”integrity(インテグリティ)”という言葉を使っています。「真摯(しんし)さ」と訳されていていますが、それでは言い表せていないと感じています。
ドラッガー自身も定義が難しいと述べていて、「”integrity”に欠如する人物の特徴」を列挙することにより、逆説的に説明しています。
それは、
①人の強みよりも弱みに目を向ける
②何が正しいかよりも誰が正しいかに関心を持つ
③真摯さよりも、頭の良さを重視する
④部下に脅威を感じる
⑤自らの仕事に高い基準を設定しない
の5つです。
さらにドラッカーは、「いかに、知識があり、聡明で上手に仕事をこなしても、真摯さに欠けていては組織を破壊し、重要な資源である人間を破壊し、組織の精神を損ない、業績を低下させる」と述べています。
数年前、話題になった「もしマネ」シリーズでは、次のように引用されています。
「真摯さを絶対視して、初めてまともな組織といえる。それはまず、人事に関する決定において象徴的に表れる。真摯さは、とってつけるわけにはいかない。すでに身につけていなければならない。ごまかしがきかない。ともに働く者、特に部下に対しては、真摯であるかどうかは二、三週間でわかる。無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。だが、真摯さの欠如は許さない。決して許さない。彼らはそのような者をマネジャーに選ぶことを許さない」
”integrity”の欠如に対して、ドラッカーはかなり辛辣です。(②につづく)